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カンボジアで6人のお母さんになって~教育支援から子育て支援へ~

投稿日:2016年11月6日 更新日:

こんにちは。皆様、いつもお世話になっております。第6期現地駐在員の石出恵です。

カンボジアではもうすぐ水祭りが始まります。11月の中旬に3日間行われるようですが、水祭りの日に近づくにつれ田んぼや川の雨量が増えてきた気がします。

生徒の中には、家からスクールまでバイク→ボート→バイクで毎日通っているという生徒も。

私も滞在中に1回はボートに乗ってみたいので、水祭りをとても楽しみにしています。

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(New住み込みのソッコン。)

 

さて今日は【カンボジアで6人のお母さんになって】というタイトルで記事を書かせて戴きます。

もちろんですが、私がカンボジアで結婚をして、6人の子どもを産んだわけではありません。(笑)

今日は私が暮らす6人の住み込みスタッフとの生活での葛藤を記事にしました。

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(顔面パックでみんなでつやつや肌を目指した結果。(笑)おばけパーティーに。)

 

ある日。現地スタッフのスレイリャと住み込みスタッフがCBBスクールで生活するためのルールを話し合っているとき、スレイリャからこんな一言が。

「彼らはけいをお母さんだと思っている。彼らにとっては今はCBBが家だから、けいのことをお母さんだと勘違いしている。」と。

まさか、まさかと思いながらも、私には思い当たる節がたくさん。そして、最近感じていた違和感。

先生からマネージャー業務に専念して約3か月。私は教育支援をするためにやってきたのに、最近は子育て支援をしている気分でした。そして、それほどカンボジア人と一緒に暮らして育てる支援は大変だったのです。

【エピソード1:朝ごはん戦争】

私がCBBスクールに来たとき、スクールでの生活に朝ごはんというものは存在しませんでした。

彼らは起きて掃除をして学校に行き、11時くらいに帰ってきて、みんなでそろって昼ご飯。私も食への執着がそれほど強くはないので、特に気にも留めてませんでした。

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(私の大好きなクメール料理。日本に帰ったら恋しいな。。)

しかし、学校が夏休みに入り、日本人が増え、市場に朝ご飯を買いにいくようになり、だんだんと朝ごはん習慣ができてきました。

「お腹がすいて勉強ができないし、そうじもできない。」

そう住み込みスタッフが言いだした瞬間、もう限界か~と思いながら、ボーボー(おかゆ)やノンバンチョック(ローカルの麺料理)が買える1000リエル(約25円)を1日ずつ1人1人に朝ご飯としてあげることに。しかし、結局朝ごはんを抜いてお小遣いに回したりしていたので1000リエル支給制度は廃止に。日本人が同じものを購入して配ることにしました。

「ボーボー(おかゆ)はおいしくない。バイサイチュル(豚肉ご飯)が食べたい。」

そう聞こえてきたのは、日本人が買ってくる制度を始めて1週間程がたったころでした。

クメール語での会話がなんとなく理解できるようになり、聞こえた会話。

ただ財政的にもバイサイチュルは1つ3000リエル。毎日買うことは難しく、日に日にあがっていく彼らの要求に少し呆れてしまった私。

朝ごはんがなければ朝ごはんがほしいといい、カップ麺をあげればごはんがいいといい、1000リエルをあげれば3000リエルがほしいという。

何がわがままで、どこまでが本音なのかこの朝ごはん戦争は、私がお母さんとして戦った初めての事件。

【バイク戦争】

新学期。すがすがしい気分の私をよそに、プレイニア学校へ通う3人組はなんかそよそよ。

理由は「今日は学校にクラス発表を見に行くだけだから、バイクを貸してほしい。」というのです。

もともとCBBのバイクは全体代表であるマサさんが自腹で購入したバイク。現在日本に帰国中のため、CBBの仕事で使うならということで借りているものです。そのため、学校などの私用には使わないルールがありました。

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(カンボジアの生活には欠かせない?バイク。)

いつもならいいよ~と言ってしまう私ですが、彼らにだけOKしてしまっては示しが付かないので心苦しいけどNO。

バイクの許可を出さない私に、「けい日本にいきます、私サバーイ(うれしい)」という声を聞いたのは、その直後。

お昼時に通りかかると必ず「ニャムバーイ?(ご飯食べる?)」という声をかけられるほどなんでもシェア文化のカンボジア。

私の貸したiPadや帽子やバックは、その子の家族や友達・生徒まで誰にでもシェアしてしまうようです。

「日本人はお金があるのに、なんでそんなにケチなんだ!」と言わんばかりの顔で見られるときもしばしばです。

【言っていいことと悪いこと】

「バカ!」「デブ!」

日本ではもちろん他人にも、友達にも言ってはいけない言葉。

でも、カンボジア文化的には本当にただの冗談らしく、気にしている日本人はおかしいんだとか。

確かに、カンボジア人は日本人の私たちがびっくりするようなことを平気で言って、みんな笑っていることがあります。

「○○先生がいい!△△先生とは勉強したくない!」

「オッ・チョウチャ・ケイ!(けいきらい!)」

本音を正直に言うところ、そして人が怒るのを楽しんでいる思春期Boysたち。

子どもだな~と思いつつも、言われて気持ちがいいことではありません。

でも本当に冗談らしいので、カンボジア人に何か言われたときは聞き流すのが一番です。

(彼らの悪口ばかり書いてしまいましたが、いいところももちろんあります。

最近一番感動したのは、ペットボトルのジュースが開けられなくて困っていた私のところに、後ろからそっとボルがやってきて、「わたし、チェッ(できるよ)」と言って、開けてくれたことです。)

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この子たちの日本語力はどうやったら上がるのかな?

どうしたらカンボジアの子どもたちは大学にいけるのかな?

そんなことばかり考えると思っていたインターン生活。先生業務からマネージャー業務になった私に待っていたのは、彼らの人間的にも成長できる場づくりでした。

22歳のお母さん。今はせっせとCBBのルールを作っています。

「1日にありがとうを10回言いましょう。」

「嘘を言わない。悪いことをしたらごめんなさい。」

昔お母さんや先生に言われたことを思い出しながら、作成中。一気じゃなくていいので、少しずつ決まりを守るということも教えていきたいです。

住み込みスタッフとの闘いはこれからも続きますが、正面から向き合っていきたいと思います。

 

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