IKTT(クメール伝統織物研究所)を訪れて〜カンボジア人と働くということ〜




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『いのちの樹 The Tree of Life IKTT森本喜久男 カンボジア伝統織物の世界』

内藤順司著

この写真集を見たときから私の心を捉えて離さない美しいシルクを一目見ようと、今回の渡航ではメンバーを引き連れてIKTTクメール伝統織物研究所を訪れました。

写真集発表会で本物のシルクを見ることは叶ったのですが、森本さんのお話をお聞きし、どんな人がどんな想いで織っているのか知りたいという想いが募りました。

IKTT を訪れて

IKTT(クメール織物研究所)の工房はオールドマーケットから川沿いに10分程度歩いた先にあります。シェムリアップ市内から車で1時間かかる「伝統の森」も訪れようと思っていたのですが、時間が遅く着いたときには辺りが暗くなって危険ということで断念しました。工房でも製糸、染色、機織りが行われていたので日本人スタッフの説明を受けながらゆっくり見学させて頂きました。

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そこでは赤ちゃんを腕に抱いたお母さんが作品の手入れをして、若い女性が機織り機を操り、長年働く方がその人にしか織れない伝統の模様を紡いで、年配の方がおしゃべりをしながら糸を整えていました。現役バリバリで機織りをしていた女性も年を重ねると自分から希望してゆったりした糸を整える仕事に就くそうです。

お母さんも子供が目に届く所にいてあやしながら仕事ができると安心してその気持ちが布に現れるかのように美しいシルクを生み出すそうです。出来上がった作品を手に乗せると不思議と温かく、大量生産では作れない輝きがそこにはありました。

 

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そこには日本の職場にはないようなゆっくりとした時間が流れていました。自分のペースで作業ができて、これがカンボジア人に合った仕事のあり方なのかもしれないと感じました。

カンボジア人と働くということ

しかし、あくせく一生懸命働く日本人、家族との時間を大切にするカンボジア人。一緒に働いていてやきもきすることはないのかなと思って苦労することをスタッフの方に聞いてみました。そうすると「お客さんに積極的に話しかけないし、買い物を頼んだら他のことをしていて…気になる所はいっぱいあります。」とこっそり教えてくれました。

「カンボジア人になることはできないのでこの違いに一生慣れることはないですね。私も日本人の心は忘れたくないので。だから、認め合っていくしかないですね。」そういって笑った彼女の笑顔は強くしなやかで、とても素敵でした。

あと10日間カンボジアにおりますが、私も日本人の心を忘れないように、そしてカンボジア人の心も尊重できるように生活しようと思いました。

Unknown

IKTT Japanさんには昨年12月のカンボジアフェスタに出展して頂きました。ご協力下さりありがとうございました。

文責:常岡晴恵

IKTT(クメール伝統織物研究所)とは

【団体名】IKTT (Institute for Khmer Traditional Textiles /クメール伝統織物研究所)

【所在地】No.472, Viheachen Village, Svaydongkum Commune, P.O. Box 9349, Siem Reap Angkor, CAMBODIA

【代表】森本喜久男

【設立】1996年1月 (カンボジア政府によるNPO認可)

【URL】http://www.iktt.org/

【設立趣旨】

1995年、ユネスコの委託により、カンボジアの伝統的な絹織物の現況調査を担当した森本は、20数年にも及んだカンボジア内戦がさまざまな断絶をもたらしていることに気づいた。優れた技術を持った織り手たちの多くは、戦禍と混乱のうちに亡くなり、かろうじて生き残った者たちも高齢化していた。200種類以上もあったとされる伝統の絣のパターンも、その記憶の担い手とともに失われつつある。かつては村のなかで調達できた生糸も染め材も今はない。彼女たちが再び織り機の前に座るまでには、さまざまな困難が待ち受けているのが見て取れた。これら代々継承されてきた染織技術と知恵――絣柄のデザインから、道具の数々とその使い方、そして大切に扱われてきた絣布そのものまで――、伝統織物にかかわるあらゆるものを収集・記録し、次の世代に残す必要がある。同時に、その復興と再生を促し、伝統の活性化を図ることが切に望まれた。こうした現状に対し、カンボジアの伝統的絹織物の復興と調査研究、その活性化を推進するために、1996年1月、IKTT(クメール伝統織物研究所)は森本喜久男によって設立された。

(HPより引用:http://www.iktt.org/