こんにちは。CBBプノンペンオフィスより、現地代表高橋昌祐樹です。
先日2013年10月25日、CBB1件目の教育マイクロファイナンスを提供しました。目的は大学継続です。
相手はCBB設立当初の2年前から交流のあるサロ先生です。彼女は、国際NGO Room to Readの優秀な現地スタッフです。額は$500、返済期間は実に4年間。利子を銀行より圧倒的に低い設定にすることで差別化を図りました。
マイクロファイナンスの1番の課題は返済の担保です。正直ここは信頼関係がすべてです。土地の証書も彼女は持っていないので担保は何も取れません。この土地証書がないと地域代表のサインもいただけません。法的拘束力がないということです。
では証人を立てるしかありません。そこで村内の信頼できるメンバーに署名をもらいました。また将来大学を卒業して働き出すことを念頭に無理のない返済額を設定しました。返済が遅れてもその分の利子率を高くすることで早期返済を促します。
マイクロファイナンス構想を立て始めたのが今年7月終わりです。
8月5日にファンドレイズが出来ました(資本金本当にありがとうございます)。
1件目ということで色んな方に様々なアドバイスをいただきました。起業家、日本国内で金融業の経験のある方、カンボジアで大規模マイクロファイナンスを実施しているNGOの方々。優しくも厳しいご指摘をたくさんいただきました。正直やらないほうがいいとしか思えないくらい課題しか見つかりませんでした。
グラミン銀行は社会背景の違いからカンボジアでは通用しないモデルだと考えました。カンボジアの既存マイクロファイナンスは都市型、JICAの資料を読み漁っても農村で成功しているとはとても言い難い状態です。
「相手は絶対に返済出来るのか=この投資によって将来絶対に所得を上げることが出来るのか」
僕たちはこの問いに100%の自信をもってYesということが出来ませんでした。CBBに興味を示してくれたプノンペンの学生たちとも議論を重ねました。養鶏、養豚、野菜栽培、フルーツ栽培、農機具レンタル、農薬変更、米品種変更、商店オープン、屋台オープン、手工芸、石鹸作り販売etc…
しかし絶対に勝てる保証がありませんでした。生き物は病気にかかってしまったら終わり、洪水天候に左右されるものは神様頼み、田舎のミニ商店なんてたかが知れてる、ご飯を売るって言ったって田舎ではみんな家で作ってしまいます。
不確定要素が多すぎました。「これなら絶対勝てる」と自信をもって言えるものがありませんでした。
マイクロファイナンスはそもそも子どもが学校に継続して通えるように、親に所得をという理由から発案したものです。教育支援NGOとして目的から教育を外すわけにはいきません。
そんな中、実は彼女サロ先生ともう一人ロターという英語の先生からお金を貸してくれないか?という相談が来ていました。
これだ。
ロターとは金額の条件がどうしてもあわなかったので契約は断念しました。しかし無事サロ先生と1件目を誓約することが出来ました。利子率から返済の担保、返済計画、すべてにおいて初めてづくしの1件目です。でも穴はないと信じています。
最終段階、プノンペンで何時間も一緒に返済計画を詰め、後日農村での$500受け渡しました。この時の彼女の笑顔は本当にとびっきりでした。2年前の自転車支援で初めて彼女に会いました。goとschoolしかしゃべれない中、必死に僕を村中案内してくれました。英語を勉強すると約束して翌年、一瞬しか会えなかったけど確かに少し英語を喋れるようになっていました。大学の専攻はこれまたEnglishです。仕事の合間を縫って英語の勉強を続ける彼女の必死さは本物です。
大学教育により人生の選択肢を圧倒的に広げてもらって、
より良い自分の好きな職を得てもらって、
そして無理のない返済をしてもらいます。
彼女が返済してくれるお金は次世代の教育マイクロファイナンス資金になります。
持続可能な教育支援の形がここにあります。