こんにちは。
NGOCBB共同創始者・一橋大学大学院修士1年・藤野太一朗です。
カンボジアは7月28日に下院の選挙が行われました。
選挙の結果やその前の選挙活動については、相方のマサが記事を上げてくれているのでそちらを見てください。
僕はInterbandというNGOのメンバーとしてカンボジアのCONFRELというNGOの下で短期選挙監視員をしていました。
なので、僕が今回伝えたいのは、選挙が実際どのように行われていたのか、そのリアルを伝えたいと思います。
団体などとは一切関係のない個人的な見解ですので、その点了解ください。
暴力やデモ、野党の対抗姿勢などが強調された報道が多いカンボジアの選挙。
確かにプノンペンでは、警察車両を住民が破壊していたりしてました。
ただ、それがカンボジア選挙のリアルなのでしょうか。一体リアルとは何なのでしょうか。
僕が派遣された監視地区はKandal Provinceという場所です。
Kandal Provinceはプノンペンから車で20〜30分の場所にある州です。
形が面白く、プノンペンを覆うような形をしているんです。興味のある人は地図で確認してみてください。
本題の選挙ですが、選挙は7時に始まるので、6時には選挙管理委員の方々が準備しています。
選挙所の中は写真等が禁止されていたので、遠くからパシャリ。
政党の方も立ち会いのもと、投票箱が空であることを確認します。
僕は6時には投票場についたのですが、その時にはもう投票を待つ人がちらほら。
みんな暑くならないうちに選挙に来たがります笑
投票所準備は至って平穏でした。
不正などは起こる空気はなく、これからの選挙に備えてしっかり打ち合わせている感じでした。
投票所はよくわからないのですが、7時15分に開場しました。
7時までに開かないといけないので、しっかりNGOに報告しました笑
投票上が開くと、有権者は投票名簿に名前があるか確認して、名前があれば中でIDを見せて晴れて投票することができます。
ほとんどの所では暴力など少しもなく、平穏に投票が行われていました。
問題は・・・
不正?が起きた時です。
1:名簿に名前がない。名簿の情報が間違っている。勝手に投票されている。
僕はこの手の問題は政治的な問題を帯びていると言うよりも選挙管理委員のテクニカルな問題だと思うのですが、時々、名簿に名前がなく投票できないことがあります。
彼らは投票できないことにすごく不満を持っていました。
写真は名簿に名前がない、と文句を僕ら選挙監視員に言ってくる住民です。
選挙名簿の情報が間違っている場合は、選挙名簿の情報のうち2つ以上の情報があってることで投票が出来てしまいますので、勝手に知らない人の代わりに投票したりもできちゃうかもしれないんです。
選挙場で着いたらもうすでに勝手に投票されている、なんて事例も報告されているみたいです。
僕はその事例には出会わなかったのですが。
2:よく知らない人が投票に来た時。
投票は、出身地か現所在地でしかできません。
そのため、投票日は知り合いがみんな集まる感じになるのです。
投票所に来る人の顔は基本的にみんなわかるので、ローカルの住民が知らない人が投票に来たらかなり警戒します。
リストにも名前が乗っている、IDもある。
でも、誰?みたことない人だ・・・
こういう場合どうなるか・・・
答え:住民が勝手に投票場を閉めます
投票所を閉めると、他の住民も投票できないのですが、不正な投票を防ぐという意志のもと閉めてしまうのです・・・
ってか投票所を閉める権限は住民にはないんです。
写真は投票場を勝手に閉めちゃった後の写真です。
この後警察が来て、投票場を閉めた人を逮捕しちゃいます。
さすがに、この時はビビりました。
なんか一発触発 な感じでしたから。
この事例は僕のいたKandal Provinceで2件報告されているみたいです。
最後は開票です。
ここは完全にカメラがNGだったので写真はないです。
開票作業は、選挙管理委員と政党の監視員、そしてNGOの監視員が入ることができます。
開票中は窓を開けるので、外の人は票数を一緒に数えることができます。
そして選挙は終了。
その日の夜には開票速報がテレビで流れる、という次第です。
以上がカンボジア選挙のリアルな流れ。
全然暴力なんてなかったし、小競り合いはあっても、そこまでシリアスなものはなく、選挙自体はいたって平和裏に行われたと感じました。
もちろん、かなり多くの不正が報告されているのも事実です。
これからカンボジアの政治はどういう未来を描くのでしょうか。
現在野党は選挙結果を受け入れない姿勢を示しています。
このままでは議会を成立させることができません。
カンボジアという国は、選挙結果をそのまま受け入れることすらも困難なんです。
今までの与党の強権的な一党独裁政権からどのように民主的な政治体制へと移行するのか、これからが見ものだと思います。