お世話になっております。
国際協力NGO CBB全体代表、高橋昌祐樹です。
現地で5月中旬より毎日生徒集めのプロモーション(CBBスクールでの営業)と、住み込みメンバーの人材育成の2本柱に力を入れている最近です。
この記事の目次
CBBも2011年スタートから6年目
支援を振り返ってみると「どんだけ失敗してるの」ってほどの失敗と、奇跡的に現地とニーズが合致して残った「チャリ」「大学進学」「スクール」という3つの軸。
最近はその中でもこの年々発展してしかし格差の広がるカンボジアに一番合致しているのがスクール事業なんだなと思うところです。
2013年ごろからビジネスチャンスと注目されてるカンボジアですが、そんな事業は大規模農業と不動産投資、工場経営くらいかと思います。
飲食なんて一瞬で潰れますし、小売りは現地パワーに勝てません。
実際多くの日系企業は撤退の一途。
うちの拠点もプノンペンは捨て、地方都市パーブも捨て、村にフォーカスしたことで副次的にできることが増え、支援の可能性も広がったのかなと思います。
捨てるって大事なんだなと思いました。
よく意識高い系が使う「選択と集中」ってやつですかね。
うちはすべての教育支援のベースに隠れた「人財育成」を常に狙っていました。
故の大学生向けのシェアハウスであり、チャリ支援の追跡であり、スクールの継続です。
ただ正直大学生向けは僕は個人的には諦めています。
大学生になる子って既に自分のやり方や拘りを持っているんですよね。
何か外から来た新しい価値観を素直に受け入れ、それを自分なりに消化するには「遅すぎる」んです。
もちろん例外はいますが、汎用性のある支援をしないと拡大してより多くの人に価値を届けることは出来ません。
そんな出来る子を待っていては「世界は変えられない」ですし、出来る子は外人のサポートがなくても勝手に頑張っていきます。
NGOが対象にすべきはまさに「落ちこぼれ」なわけです。
そのCBBハウスでの煮え切らない失敗・挫折がいまのCBBスクールでの「住み込み人財育成プログラム」に行きついているのかと思います。
退学支援の手段としての住み込み制度と人財育成
スクールでの人財育成の対象は受入時の年齢が15~20歳前後まで。
人財育成には時間がかかります。
うちはそれを「退学支援」として中退してしまった中高生を復学させ、宿と飯と教育を無償提供しているわけです。
しかし人財育成って何をするんだよという話です。
カンボジアでは語学が収入を大きく左右します。
すべての支援の究極の目的は貧困削減のため。
その最短ルートが今のこの国では「語学」なのです。
これがほかの要素に移ったらうちもそちらに移行するでしょう。
語学のいいところは頑張れば誰でも出来るようになること。
日本人が英語が出来ないのは特に死活問題でも魅力的でもないから、つまり必要ないからですね。
その「語学」を利用させてもらって、うちは村の子ども向けの語学学校をやっているわけです。
もちろん先生が必要です。
先生になるにはそれなりに言葉を理解する必要がありますよね。
だからCBBはまず住み込みメンバーを先生に育てるんです。
でも先生だけでは学校は回りません。
広報や営業をして生徒を集め、来ている生徒のケアと管理をするマネージャーや営業担当が必要になります。
生徒管理は各先生に任せ、営業(カンボジアではプロモと言う)を一緒に頑張るわけです。
まだ営業文化のないカンボジアではこれが中々難しい。
プノンペンの日系企業でも営業は日本人だけというところも珍しくない。
それをうちはフルでカンボジア人スタッフに将来的にやってもらいたい。
住み込みで英語日本語を勉強し、先生になるために更に語学に磨きをかけ、営業もきちんとできる。
こんな人材がいたらプノンペンでは引っ張りだこです。
でもこれではチープな人材育成会社になって終わりです。
だからうちはもっとやります。
これはもう日々の積み重ねですがスクール設立当初から掲げていた「考える力」、これを身に付けてもらわないと将来できることはたかがしれています。それじゃカンボジアでわざわざ日本人が来て頑張る価値はありません。
日本人として現地との関わり方
日本人がここで勘違いして孤軍奮闘しても現地には何も残らないわけです。
大事なのは「人を巻き込むこと」
事例1)掃除の習慣を身に付けさせるのに自分が毎日掃除してたら意味ないわけです。
一緒にやって、カンボジア人に他のカンボジア人を巻き込んでもらって、どんどん輪を広げて、日本人が寝てても毎日誰かが掃除をするようになって初めてそのプロジェクトは意味があるんです。
プロジェクトをする時も日本人の都合なんてどうでもよいわけです。
現地に必要のないものは必要ない、それだけです。
ただ日本人にも目指すものがあると思うので、その理想を元にした「長期的利益」と現地が求める「短期的利益」の両方が達成できたプロジェクトが現地で定着するわけです。シンプルでよいですよね。
事例2)オリジナル教科書も今週から作り始めました。
日本人の意見なんて基本要らないわけです。
カンボジア人の先生たち、生徒たちに使いやすいものでないとダメなんです。
でもうまくいけばカンボジア中の日本語学習者の1冊目の教科書は「CBBオリジナル教科書」になるわけです。
これが意味のある支援。
「あなたの意見はなんですか?」
これ、スクールでよく住み込みスタッフに聞く質問です。
自分の意見を求められることが日本同様少ないカンボジア、毎回「オッダン(分からない)」や無言の笑顔が続くわけですが、これはもうしつこく聞くしかありません。
インターン生が数か月単位で来て、彼らと一緒に仕事をすることもいい経験になるのではと踏んでいます。
現在は簡単な能力チェックはありますが、まだ指針や評価基準がしっかりしているわけではありません。
先日インターン生堀江が住み込みメンバー向けの「日本語レベル表」を作り、今定着を図っているところですが、今後は「リーダーシップ」や「マネジメント力」など、項目を細かく作って定着を図れたらと思います。
うちは元々「すべての子どもたちに教育へのフリーなアクセスを」を理念に掲げ、その具体目標として「農村の貧困層の子でも大学まで行ける仕組み作り」を目指してきました。しかしこれはボトムラインの話なんですね。
ではそれが達成された支援者の子どもはどうするのか。
何を目指して人財育成するのか
それが2012年ごろに掲げていた「国を担う人材の輩出を」なのです。
しばらく使っていませんでしたが、やっとこれが見据えられるフェーズに追いついたかなという感じです。
今のCBB現地創業メンバーに関しては将来、州知事や警察、起業家、社会起業家、大企業幹部になってくれたら面白いなと思います。
要はCBBを利用して力を付け、自分のやりたいことを究極的に実現してほしいわけです。そうすればCBBスクールの後輩たちにも「いいサイクル」が波及していきます。
極論的には2050年までに「カンボジアでCBB発の大統領を輩出」したいわけです。
その2050年が、大統領室で朝まで一緒に酒を飲みながら「世界を変える」時です。
あと30年ちょっとしかないので時間ありませんね。
CBBはカンボジアが一大拠点です。
それは今後も変わることはないでしょう。
しかしカンボジア同様、長年の紛争で教育がボロボロになったり、人間開発指標が190位以下になったりしている国々に支援の輪を広げていけたらと思います。
アジアではミャンマー、アフリカではシエラレオネを中心に西・中央アフリカ諸国、中東のアフガン・イラク・シリア、ほか忘れられがちな太平洋諸島諸国。
こうした国々5~10か国でソフト面のナンバーワン教育系NGOになれば、
CBB発大統領・首相が国際会議で集い、東京サミットを開く日も遠くないかもしれません。
CBBスクール チュンプレイ校が2016年3月に移転オープンした際、多くの日本人が「夢があるね」「夢が広がるね」という言葉を残していきました。
僕は「夢」という中身のない言葉、余り好きではありませんが、今回の夢って単語の使い方は悪くない気がします。
そんな面白い将来を作るためにも、まずは目の前のカンボジア人たちと全力で向き合い「可愛い子には旅をさせよ」の精神で、スクールをまずは年内生徒300名に拡大し、より良い教育を提供し、住み込みスタッフたちを叱咤激励しながら一緒に育っていけたらなと思います。