いつもお世話になっております。第6期現地インターンの石出恵です。
今日は人財育成プロジェクトの残念な報告をさせて頂きます。
学校を退学してしまった子がCBBスクールに住み、日本語や英語を勉強しながら、学校に復学、そしてスクールで先生として働くようになり、給料を。
そんな目標を持って進めていた人財育成プロジェクト。
一番近くで日本語や英語の上達をみることができ、学校に通わせることができる。このプロジェクトの成功を一番ワクワクしていたのは実は現地にいた私かもしれません。
現在住み込みスタッフは6人。先日出稼ぎに行かなければならなくなったバンが抜け、新メンバー、ネアットが入り、再出発を喜んだ矢先、またもや一人抜けてしまいました。
CBBのブログでもよく登場するワンダ、17歳。
学校を一度は退学してしまったものの、CBBに住み始め、去年の11月から高校に復学を果たしていました。
「友達のおじさんが日本語を勉強して、とても上手に話していて。おじさんは日本語を話し、プノンペンでいい職につき、いい給料をもらっている。だから、僕もいつか日本語を勉強したいと思っていた。そんなときマサが家にきて、CBBに住まないかと言った。とても嬉しかった。」
去年の8月に会ったときは、恥ずかしそうに名前を話したくらい。
今回は仲良くなれるかな?インターン期間中に日本語もっと教えよう!と思っていたはずが、4月に来たときに彼の日本語能力の高さに呆然。
クメール語がわからない私の通訳をしてくれたり、日本語で日記を書いたり、生徒に日本語をイキイキと教えていたり。
辞書の言葉を全部覚えたい!と行き込んで、夜になるといつも
「いま、よろしいですか?質問があります。まだ寝ないでください。わたしに日本語を教えてください。」と。
そして、勉強が終わると、
「いろいろお世話になりました。そろそろ失礼します。」
って、一丁前な(笑)日本語を使っていました。
(ワンダのノート。字がとってもきれい、というかかわいい?)
私も最初の1ヵ月、ワンダとずっと一緒にいて日本語を教えたり、クメール語を教えてもらったり、そしてお互いの国のことや生活、好きなものの話をたくさんしました。今、私のクメール語力はワンダ先生のおかげ。
このおしゃべりで人懐っこい性格と、日本語に対する貪欲な姿勢が彼の日本語能力を8か月でここまで押し上げたんだと納得。
絵を描くことが得意で、サッカーが大好き。カンボジア人男子にはなかなかいない綺麗好きな性格でもありました。
そんなワンダが、ある日の朝突然CBBスクールに住むのを辞めると言い出し、手紙を置いて出て行ってしまいました。
理由は家族にお金が必要になったため、ワンダも学校を辞めて働かなければいけないということでした。
あまりに突然の出来事でびっくり。全体代表のマサさんが説得に行ったり、私も友達に聞いたりもしましたが、彼の決断を変えることはできませんでした。
数学が苦手だったワンダ。進級試験のことを気にしていたので、もしかしたら学校での勉強についていけず、進級をあきらめてしまったのかもしれません。
「能力があれば、いい職につける。だから、学校を辞めても日本語を頑張ればいい。」
そう、話していた時期もありました。
大学に行かなくても、高校を中退してしまっても、タイ・韓国への出稼ぎや語学を活かして高い給料を稼ぐことができる今のカンボジア社会。
日本みたいに強い学歴社会ではないのはいいけれど、学校教育がここまで実を結ばないものなんだか寂しい気もします。
高い給料を得ることを最高の目標に置いているカンボジア人には、大学で広がる可能性や高校を卒業した方がいいという考えは通用せず、理解されていないのが現状のようです。
大学まで通い、将来は国を担う人財になってほしい。
そう考えている私たちにとって、このワンダの話はとても聞いていて胸が痛くなるものでした。
(私がシャワーに入った隙に。この手紙を置いて出ていきました。)
CBBに帰ってこなくなったワンダ。
今は、家から高校に通い、元気に暮らしているそうです。
彼が手紙に書いた「日本ごはあきらめません。」の一言。
ぜひ、その言葉を実現し、一生懸命勉強して、自分の選んだ道を正解へと切り開いていってほしいと思います。
私もワンダのプロジェクト脱落は相当寂しいものがあります。
ソムナンにもスタッフのケアについて、もっとできることがあったんじゃないかと指摘も受けました。
でも本日はプロジェクトが全て1つの目標の元、成功する訳ではないという現実があるということを受け止め、ブログで報告させて頂きました。
人を育てるというのは難しいこともありますが、これからも挑戦を続けていきます。
7月29日(金) 23:59まで!ご協力よろしくお願い致します。